倒錯の夏
第3章 二日目・8月7日 疑惑
翌朝、私は居間のソファーの上で目を覚ました。例の出来事のせいで寝付けなかったが、疲れていたのでいつの間にか眠ったらしい。すでに7時を過ぎていた。起きた瞬間、昨日の出来事は頭の中から抜け落ちていた。
”!!・・美津子は!?”
・・思いだした私はソファーから飛び起きた。階下の食堂を確かめに、もう、階段を駆け下りていた。食堂では、朝食中の児童達が朝っぱらから騒音をたてている。辟易しながら、私は気付かれないように厨房に回った。
厨房では美津子と菜穂が賄いに忙しく動いていた。私は、あっけなさに拍子抜けしてしまい、立ちつくしてしまった。
「あなた、じゃまよ」
盆を持った美津子が足早に脇を通り抜けようとする。
「おい・・美津・・」
声をかけたが聞こえなかった。・・・それとも、聞こえないフリか?疑い出すと、全てが黒く見える。しかし、昨晩、確かに妻は寝室にいなかった。
私は夜が明けるまで探したはずだ・・。何があったんだ?まさか・・・!?。再び、よからぬ妄想が渦を巻きはじめる・・。
「おはようございます」
菜穂だ。私は少しほっとした。
「あれ、見てくださいよぉ」
私たちは厨房から食堂を覗いた。”なおき”は他の小学生達とじゃれあっている。”ゆうき”は山盛りの飯を食うのに必死だ。
”みのり”は相変わらず俯き加減で、夫の”健司”の横でぼそぼそと箸を口に運んでいた。
「信じらんない。ほんとに同一人物?」
菜穂が食堂に出て、”みのり”に愛想良く茶を注ぎはじめた。”みのり”は下を向きながら一礼しただけだった。菜穂はちらっとこっちを見て舌を見せた。
一見、平和なこの臨海学校風景と、昨晩の中学生と人妻の狂乱の光景は、当たり前のように重ならなかった。
数時間前まで自分を犯していたガキを目の前にして、夫と共に飯を食っている女も女だが、それ以上に、さっきまで奴隷扱いしていた大人の女の前で、無邪気に振る舞える2人の子供が私には理解できなかった。
それはふつうの日常光景だったが、私には異常なモノにしか見えなかった。美津子が厨房に帰ってきた。
「おまえ、昨日の夜、どこ行ってたんだ?」
「はぁ?」
「だから・・」
「上で寝てたわよ。」
「・・・・」
妻は作業に戻った。私は後を追った。
「でも、俺は5時まで探したんだ。その間、どこにもいなかったじゃ・・・」
「ああ、昨日は子供がどこか行っちゃって。探してたのよ」
「なに?そんな話は・・」
「だって、あなた、居なかったじゃない。どこ行ってたか知らないけど」
美津子の意味ありげな喋り方に不覚を取ってしまった。
「いや、そりゃ、こっちだっていろいろあって・・・」
「で・しょーう?じゃぁこっちだってちゃんと仕事してたんだから、つまんないこと聞かないでよ!忙しいのよ!」
食堂の方から視線を感じた。”なおき”と小村健司に目があった。小村みのりはうつむき加減で、しかし、こちらを見ていたのだけは分かった。
あいつら、何者だ?私は厨房を出て海に行く用意を始めた。今日は、私の運転で児童らを海に連れていく予定だ。外に出てワンボックスワゴンを見ると、なぜか異様に興奮するのを感じた。
「奥さんを犯してぇーー!」
”なおき”の言葉が脳裏をかすめた。それが次第に増幅して・・私は異常な堅さで勃起していた。
コメント
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コメント (1)
これ懐かしいですね。
もっと続きがあって旦那視点でSEX中の奥さんと対面するシーンまで作者が書いていましたが、その後すぐにサイトごと消滅してしまいました。
あとこの作品とほぼ同じ文章表現の作品に「体験告白、嬲り犯される心」があります。
この作品の方が古いオリジナルで「体験告白、嬲り犯される心」の方がパクリの盗作です。