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倒錯の夏

倒錯の夏

 

第1章 一日目・8月6日 プロローグ

 

その日は、片田舎の民宿にしては珍しく忙しい日だった。団体客を早朝に送り出したばかりだというのに、午後3時には次の団体の予約が入っていた。真夏の稼ぎ時だ。

・・・というより、この時期が1年間で唯一収入のある時期といっても大げさじゃない。朝、昼飯抜きでも文句は言えない。

「次の団体、ちょっとややこしそうな感じですね」

可愛らしい声が後ろから響いた。振り向くと、両手いっぱいに抱えた布団の陰から、健康な褐色の顔が笑いかけていた。時給1300円以上の価値はある、19歳の微笑みだ。

「バイト料、増やしてもらわないと合わないですよぉ!?」

そう言って、ケタケタ笑いながら菜穂は階段を降りていった。ぴったりしたジーンズの上からでも、きゅっと締まったウェストと、盛り上がった尻の動きが手に取るように判った。

と・・・楽しむ間もなく、階下に降りてゆく布団と入れ違いに、きつい視線が迫ってきた。

「ちゃんと働いてよね・・・まったく」

年甲斐もなく、ノンスリーブワンピースを着た美津子が階段を上ってきた。上から見ると、胸の谷間どころかその奥まで見えそうな格好だ。

夫の私が言うのも何だが・・色気は十分・・なのだろう。若い菜穂のはちきれそうな尻肉とは好対照に、柔らかい胸の曲線が、段を上る度にフル、ブルルという感じでゆっくりと揺れている。

ただ、菜穂と違う点は、私がその魅力的な肉体にさえも少々飽きてきているということだけだった。

・・それは妻にとっても同じかもしれない。その証拠に、階段を上りきっても、私の方には一瞥もくれずに奥の部屋に入っていった。

確かに、次の団体は一癖ありそうだった。”サマースクール・自然の中で学ぼう”・・・要するに登校拒否児の社会復帰リハビリ合宿だ。

引率の男女ペアを合わせて総勢8人。団体と言えるかどうかは微妙な人数だが、自宅を改造した個人経営の民宿にとってはそれでも大人数だ。

期間は10日間。その間、家はひねくれたガキどもの貸し切りになる・・・。

子供ってだけでややこしいのに、その上登校拒否児童の集団なんて・・予約の段階でキャンセルしておけばよかった、と何度も思った。

しかし、苦しい経営上、少しでも金を落としてくれる可能性のある話なら、断るには惜しすぎた。子供のことだ。

花火やら、ジュースやら、オプションで色々つければ少しでも実入りは大きくなる。・・・窓からマイクロバスが駐車場に入るのが見えた。

いよいよ来たか・・。私は客を迎えるために、階段を下りた。

バスから降りた8人の客を、まず食堂に案内した。食堂、といっても10人掛けのテーブルが置いてあって、奥が一般家庭の台所を少し広くしたくらいの厨房になっている程度だ。

6人の子供らは何も言わなくても勝手に椅子に腰掛け、ぎゃぁぎゃぁとしゃべくり始めた。頭痛がしそうだった。引率の男が甲高い声で2、3回怒鳴って、やっと落ち着いた始末だ。

もう一人の引率の女は眼鏡をかけていて、ちょっと見、暗そうな感じだった。

男の方は痩せて背だけ高い、いまにも子供を取り巻く環境について、もっともらしい話を語りだしそうな、”ちょっと変わった”風なヒトだった。

いずれにしろ、深く付き合う気にはなれない人種らしかった。さらに困ったことに、この2人は夫婦だった。なおさら、お近づきにはなりたくなくなった。

「ここが食堂です。前の廊下の突き当たりがトイレになっています。廊下を右に行くと別棟のお風呂があります・・・」

そこまで説明すると、麦茶を持った菜穂が入ってきた。子供らはちょっと、しん、となった。菜穂がテーブルに麦茶のボトルを置く。

ガキ達は私の話そっちのけで、視線は菜穂に釘付けになっていた。色気付きやがって・・。

たしかに無理はない。ガキどもは年齢こそバラバラだが、小学6年から中学3年までの”微妙なお年頃”だ。

それに菜穂は、この田舎にはめずらしく、”そそる”魅力的な娘だった。

「おぉ、風呂だってよ・・・」

中学生くらいの、大柄な少年が、隣の小学生を突付いていた。周りの少年達は、彼が言いたいことを理解して、ヒヒヒ、と笑い合っていた。今夜は菜穂の愚痴を聞くことになりそうだ。

「・・・では、説明は以上です。ごゆっくりお過ごしください」

ガキどもは引率の言うことには耳を貸さず、砂浜に飛び出していった。

 

 

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