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蒼きハイエナたちの時代 Ⅱ

―― 蒼きハイエナたちの時代 167 ――

雑居ビルにあるそのAV制作会社の一室でおばさん教師・北村光枝が待っていると、「代表取締役」の高林が入ってきた。
「若いツバメくんがいて、いいですね」
高林はそう言うと、ソファーに座ってタバコに火をつけた。
「どうやって知り合ったか……なんて、野暮なことは、聞きませんから、ハハハ、安心して」
光枝はうつむいたまま黙っていた。
「それにしてもよく決心しましたね」
高林は煙を吐き出しながら言った。光枝は顔や耳が熱くなっていくのを覚えた。
「とは言っても、あの雑誌に……ねぇ、すごいのが、載ってましたね」。
高林は、いやらしさを感じさせないようにサラリと言った。
「あそこまでの度胸がおありなら、大丈夫ですよ。なぁに、楽しめばいいんですよ、楽しめば、ビデオ撮影なんて。ほら、最近はね、熟女モノのビデオって増えてんですよ、こんなに、ねっ」
高林は、ソファーの脇に置いてあった紙袋からビデオをつかみ出した。
パッケージでは、いかにも40代、50代とおぼしき裸のモデル達がいかがわしいポーズをとっている。
「あや子さんの場合ね、このモデルの人みたいに、目線入れますからね。それに映像でも、顔には、モザイクっていう模様をかけて、わからなくしますから、安心してください」
あや子こと光枝は慎ましげに頷いた。
「それにしても、いい女ですね、あや子さん」
高林はタバコをもみ消しながら言った。
「うーん、生活感はあるんだけど、なんていうのか、色気、それも、ギラギラした色気じゃなくて、うーん……そう、清楚な、貞淑な色気っていうのかな……なかなか、こういう人には
お目にかかったことないですよ」。高林は両手を組んだまましみじみと言った。
「おっぱいも大きいし、腰回りも素晴らしい肉づき、膝から足首にかけても、なまめかしい」
おもむろに高林は、スラックスのファスナーを下ろすと、あれよあれよという間に、勃起した肉棒をつかみだした。
「ほら……恥ずかしながら、こんなになっちゃってますから」
少年達のものとは違って、40過ぎの高林の肉棒は、赤黒く、鈍い艶を放っていた。
光枝は無意識に脚を強く閉じた。
「失礼しました」
そう言うと高林は、無骨なジュニアをしまった。
「僕のような、根っからの熟女マニアを歓ばせるために、ここはひとつ、最高の作品を作りたいと思いますので、あや子さん、力を貸してください」
高林は柔らかくすべすべした光枝の手を握りしめた。

 

 

―― 蒼きハイエナたちの時代 168 ――

中神と元家庭教師先の母親・村島文恵は、身も心も抜群の相性といえた。
「あぁぁぁ……あぁぁぁ……あっあっ、あぁぁぁ……」
村島家の玄関で文恵はカベに手をついた格好で、中神に後ろから犯されていた。
「奥さぁん……奥さぁん……」
ジーパンとトランクスを下ろした中神は、スカートをまくり上げて剥き出しになった文恵の尻をつかみ、小気味よく腰を振っていた。
「こんなところで……しかも、来るなり……あぁぁっ! あっあっあっ!」
「だって朝からずっとしたかったんだから……」
昼の日中から玄関で、しかも前戯もなしの交わりに、2人はかなり高揚していた。
「奥さんだって、最初から湿ってたじゃないですかぁ……したかったんでしょう」
中神の腰の動きは暴力的になる。
「あっあぁぁぁ!」
文恵は声を裏返らせて悲鳴に近い声をあげた。
特に中神は、文恵の家でするということに歓びを覚えた。家庭教師時代の甘く、切なく、狂おしい感覚が蘇ってきて、余計に燃えたのだ。
あのころ妄想をめぐらせた事を、1年遅れでこうして実現している。
中神は文恵と会っている時は、いつも夢見心地だった。
あの、憧れの家庭教師先の母親のナマの尻を抱え、その性器に自分の狂いきった性器を突っ込んで蹂躙している。こんな無茶苦茶な光景があろうか。
その無茶苦茶をしでかしているという事実を噛みしめる度に、中神は絶叫しそうなほど興奮した。

中神は、ヌラヌラした肉茎を引き抜くと、小柄な文恵を抱っこし、台所に移動した。2回りも年上の文恵も、トロンとした目つきで甘えん坊の表情をしている。
そして、流しに文恵を立たせると、中神は再び“立ちバック”で犯し始めた。
「あぁぁ、これがやりたかったんです。いつも、ご飯をごちそうになっていた時、奥さんの、この、おいしそうなお尻をチラチラ、見てたんだからぁ……」
「あぁぁぁ……ほんと? いやぁ……あぁぁぁ……」
夫や息子とともに団らんを過ごすその空間で、今、全く許されざる行為に耽っている。
文恵が罪悪感にさいなまれていたことも事実である。しかし、そんな事実も軽く免罪されるような怒濤の快楽が、次から次へと間断なく押し寄せてきた。
中神のは硬かった。大きくて存在感があった。そして、何より、むき身の欲望でぶつかってくる。
ことあるごとに「前からしたかった」と彼が口にする言葉は、どうしようもなく実感がこもっていた。
文恵は、犯されながら、家庭を捨てて、夫以外の男と駆け落ちしてしまった知人
のことが頭をかすめ、初めて、それまで忌んでいた彼女の行為が理解できたような気がした。

 

 

―― 蒼きハイエナたちの時代 169~170 ――

「ハァハァ……チュパッ、ズズーッ、チューッ、ペロッ、チュパッ……」
昼下がり、市福祉課職員の大底宏雄は自分のアパートで受話器を握りしめ、卑わいな“音”を発していた。
「奥さんのおっぱい、オイシイ……」。ハンカチを送話口に当てて声色を変えながら、そう言った。
居間で横たわった谷原久美子は、受話器から漏れてくる正体不明の男の熱い声に、密かに聞き入りながら、ショーツの脇から指を入れ、沸騰しているそこをくじっていた。
唇を噛んであふれ出そうになる声を殺すのも戦いだ。
民生、児童委員を担当している職員の大底は33歳、独身。職務上、知り合った年増女たちにこうしたイタズラ電話をかけるのを楽しみとしていた。
夜ともなれば相手先の家人が帰ってきて都合が悪い。ゆえに、昼間、外回りを口実に、自分のアパートに立ち寄って、淫らな変態男の本性を発揮するのだった。
大概、荒い息づかいを聞かせた途端に電話は切られてしまった。
しかし、谷原久美子の所は稀だった。こちらが喋るままに電話を切らずに放置するのである。
馬鹿さ加減に気づけということだろうと大底は思った。しかし、この変態男は、そんなことどこ吹く風、受話器の向こうへ届けとばかりに淫らな事をまくしたてた。
一方、久美子のほうは、3日に1度ほどのペースでかかってくるこの電話を心待ちにするようになっていた。覚えて久しい自慰を、限りなく充実させるものだったからだ。
大底は、自分の淫語を相手が聞いているとは微塵も思っていなかった。
そして久美子は、相手が、いつも市役所の窓口などで懇切丁寧に応対してくれる、あの真面目そうな男だとは、夢にも思わなかった。
「あぁぁ、奥さぁん、セックスしたい……どんなオマンコなんですかぁ……まず、パンティーの上から奥さんのオマンコとアナル、ぺろぺろ舐めたい……あぁぁ、奥さんの、濡れ濡れのオマンコに指をズブブッと入れて、かき回したい……その指抜いて、奥さんの顔になすりつけて、舐め回したい……奥さんのオマンコに、舌をねじ込んで、中を、舐め回したい……おつゆを、すすりたい……奥さんの手を後ろで縛って、バックからズッコンバッコン、突きまくりたい……子宮、めがけて、ドピュュュュッと、浴びせたい……あぁぁ、奥さぁん! ハァハァハァ……」
大底の右手の動きが、狂ったように激しくなる。
テレビの音量を大きめにしながら、久美子は左手で送話口を固くふさいだ受話器を耳に当てたまま、右手中指で茂みの奥の肉饅頭を激しくかき回した。パンティーを足首にからませたまま……。
「奥さん、いくよ、いくよ……出るよっ……いく、いくっ、いくーっ、おぉぉぉぉっ!」
大底のパンパンに張った亀頭の先から、いつになく激烈なほとばしりが噴き出した。

電話はプツリと一方的に切られた。
三分ほどの高まりのなか、久美子は身悶えた。
「あぁぁぁ……」
右手をスカートの中に入れたまま、カラダを反らせた。
おもむろに起きあがった久美子は、ブラウスのボタンを外し始めた。そして、スカートも脱いだ。
ブラジャーとパンティーだけになった民生委員・谷原久美子は、うつぶせになると、右手をパンティーの中に入れ股間にあてがった。そして、むっちりした腰をへこへこと押しつけ始
めた。ちょうど右手中指の先にクリトリスが押しつけられる格好だ。
「あぁぁっ……あぁぁぁっ……」
腹の底から湧いてくるような切なげな声を漏らしながら、久美子は貪欲に尻を動かした。指はぬるぬると肉の亀裂にめり込んでいく。
電話男の卑わいな言葉がよみがえる。
「奥さんの乳首をつまんでいじりたい」「舌で転がしたい」「四つん這いにさせて後ろからアナル舐めたい」「オマンコに吸いついてチューチュー吸いたい」
――日常、耳にすることができない甘美な言葉の洪水。
できれば、男の言葉を聞きながら燃えに燃えたい。しかし、それは許されない。そのもどかしさが、一層、久美子を狂わせるのだった。
得体の知れない電話男が自分の裸身にむしゃぶりついてくる。力づくでカラダを拘束され、男の固い舌が至る所を這い回る。うなじ、脇の下、脇腹、乳房、乳首、太もも、ふくらはぎ、
尻、股間……。
「あぁぁぁっ……いやっ、いやぁぁ……」
そして、その、のっぺらぼうの男はいつしか、人相を帯びてくるのだった。
それは、あろうことか息子の友達だったのだ。そして、それは1人ならず、2人、3人、4人と数を増した。
幼稚園から仲良くしている近所の彼、家族ぐるみで旅行に出掛けたこともある彼、そして、あの木山や村島も登場した。
彼らが、一斉に自分を襲うのだ。
「おばさん……おばさん……」
逃げまどう久美子。
しかし、性欲の固まりの蒼き性の前に、なす術はない。久美子は捕まえられ、次々と犯されるのだ。
「あぁぁぁ、いやっ、たすけてぇ……あぁぁぁぁっ」
そんな妄想に及んだ後、決まって覚えていた罪悪感は、回を重ねるうちに薄れていった。

 

 

―― 蒼きハイエナたちの時代 171 ――

市福祉課職員・大底は、市役所の玄関に民生委員・谷原久美子を見つけ、緊張した。
久美子はすぐにこちらに気づいたようで、目礼すると近づいてきた。
「今月の報告書、持ってきました」
透き通るような久美子の澄んだ声。その封筒を受け取る際に久美子の柔らかい指が大底の指に触れた。大底の全身に電気が走った。
「と、特に、変わった問題は、ありましたか?」
精いっぱい平静を装った大底が聞くと、久美子は首を横に振って、「いいえ」と答えた。
その、清楚で、平凡そうなところが大底にとって、たまらぬ魅力だった。
まさか、目の前のこの男が、助平な電話をかけてきているなど、想像もつかぬだろう。大底の胸が高鳴った。
「それでは、失礼します」
久美子はかすかな笑みをたたえてきびすを返した。
「お世話さまです」
大底は役人口調で言葉を返した。
あの尻に、ふくらはぎに、むしゃぶりつきてぇよ――大底は封筒を抱えたまま、白いスカートに包まれて揺れる久美子の尻や、ベージュのパンストに包まれた脚を見つめた。スカートにはクッキリとバンティーラインが浮き出ていた。

夜、アパートに帰った大底は、趣味のパソコンの前に座った。
そしてインターネットに接続すると、ある掲示板にアクセスした。
「人妻熟女妄想掲示板」なる成人向けサイトだった。
大底は昼間、脳裏に焼き付けた谷原久美子の姿態を思い出しながら、勃起したチンポを左手で握りながら、掲示板に書き込みを始めた。

 「知り合いの主婦・久美子  投稿者・年増好き

  知り合いのおばさん、久美子とオマンコしてー
  年は40半ば、中肉中背、でも尻がぷりぷりしてたまんねー
  いつかいつかいつかきっと、オマンコするぞ!
  こんなおばさんです、みんなどう思う?」

そして、書き込みの後に、デジカメで密かに撮ったワンピース姿の久美子の全身写真を、目線を入れて貼り付けたのだった。
数時間たった深夜、再び、そのサイトを開いてみると、「いい! こんなおばさんとやりたい」「生活感あっていいね。尻もいい。後ろからハメたい」「上品そうで真面目そう。紹介して」
「久美子久美子久美子ーっ、やらせろ!」などといった、他人からの卑わいな書き込みがなされていた。
大底は、そうした他人の反応に言いしれぬ興奮を覚え、その日、2度目の大量噴出に及んだのだった。

 

 

―― 蒼きハイエナたちの時代 172~173 ――

野暮ったい古典教師・千駄木啓子は、とんだ淫乱女だった。
「きょうも学校でオマンコ濡らしてたのか」
「そ、そう……あぁぁぁ……」
山名のアパートのベッドの上。啓子は服を着たまま、剥かれた尻のほうから“指マン”の責めを受けていた。
「真面目そうな顔して、淫乱だな、千駄木先生、ほらっほらっほらぁ」
山名の指の動きが激しくなる。
「あぁぁぁ、いやぁぁぁ……だって、だって、若い子って、みずみずしくって、ガツガツしてそうでぇ……あぁぁっ、あぁぁぁ!」
自分よりも若い男子生徒に嫉妬した25歳の山名は、オールドミス教師・啓子を無茶苦茶にいじめた。
山名の2本指を飲み込んだ啓子の肉壺は赤みを帯びてヌラヌラ光り、山名の指も腹立たしいほどに濡れてふやけていた。
「先生、いつも、男子生徒のこと思って、オナってんだろう!」
山名は指マンをしながら親指の腹でクリトリスを刺激してやった。
「そ、そう……」
啓子は恥ずかしいことを告白させられることでより興奮を高めていった。
「誰としたいんだ?」
山名が聞くと、しばらく躊躇していた啓子。
しかし間断なき責めのなかで「生徒会長の上杉くん……」と漏らした。
生徒会長の上杉とは、成績は校内トップクラス、スポーツも万能で、しかも長身、美男子、まさに絵に描いたような少年だった。
長身で優男の山名は、上杉と自分をダブらせた。
「先生、僕が『上杉』になってあげようか」
山名は啓子の中に指を突っ込んだまま言った。
一瞬、呆気にとられていた啓子だった。
しかし、山名が「千駄木先生、僕、上杉です。前から先生とセックスしたかったんです」と切り出すと、すぐに乗ってきた。「うえすぎくん……」

タオルで目隠しを施されたオールドミス教師・千駄木啓子は、より大胆になった。
「上杉くぅん……先生も、上杉くんと、したかったのぉ……」
啓子は生徒会長・上杉役の山名にすり寄ると、手探りで山名のズボンのファスナーを下ろし、はち切れそうな勃起肉棒をつかみ出した。
「あぁぁぁ……上杉くんの、すてき……」
「千駄木せんせぇ、僕も、ずっと先生と、したかったんですよぉ……」
山名もすっかりその男子生徒になりきって興奮していた。
目の前では、ふだんは地味で目立たない、野暮ったい女教師が、スケベ女の本性を剥き出しにして自分のチンポを握りしめている。
山名は学生時代に戻って教師と秘め事に及んでいるかのような錯覚を覚えていた。
突然、啓子がチンポに食らいついてきた。
「あぁぁ!」
山名は思わず声をあげた。
まさに、貪り食らうといった、はしたない啓子の舐め様だった。
山名は、対等の「教師」としてではなく、「生徒」という視点からその女教師の乱行を眺めることによって、言い様のない興奮を覚えていた。
不本意にも昇りつめそうになった山名は、無理矢理、肉棒を啓子の薄幸そうな口元から引き抜いた。
そして、「千駄木せんせぇ、見たいよ、あそこ……」と請うと、啓子は「あぁぁぁ……」と声を漏らしながら、その場にへたり込み、脚を開いた。
スカートがまくれ上がり、濃密な茂みの下でピンク色の貝が、ぱっくりと口を開けた。ヨダレを垂らしながら。
「あぁぁ、せんせぇ、すごいよ、せんせぇのオマンコ、すごいよ……」
山名は右手でパンパンに張りつめた肉棒をしごき始めた。
「あぁぁぁ、見てるのね、もっと見てぇ、先生のあそこ、見て……見たかったんでしょう……」
啓子は繊細な指先で貝の両側を左右に開いた。
「すごいよ、せんせぇ、奥の奥まで見せて、そう、もっと奥まで……あぁぁ、すごい、中のヌメヌメした肉まで丸見えだ、千駄木せんせぇ……」
「あぁぁぁっ……」
啓子の肉はひくひくうごめき、ヌラヌラしたヨダレを垂らし続けた。
「今度は、うつぶせになって、お尻のほうから見せて、自分で開いて」
山名のボルテージも上がり続けた。啓子はもはや“奴隷”である。
「こう?……」
啓子は言われた通りに、白く貧相な尻を突き出して、左右の手で尻肉を開いて見せた。
「わぁぁぁ、せんせぇの、お尻の穴と、オマンコが、丸見えだぁ……」
山名は顔を、啓子の肛門のすぼまりに近づけて言った。
たまらず、中指を啓子の壺に突き入れた。プチャッと淫らな音がした。
「ひゃぁぁぁ……」
古典教師・啓子は、業の深い肉壺をかき回されながら、気がふれたように尻を振ってあえいだ。
「先生を、犯して、先生を、犯してぇ! 先生を滅茶苦茶に犯してぇ!」
そんな慎みのない絶叫が止んだのは、山名が鋼のような肉棒をぶち込んだ一瞬だけだった。

 

 

―― 蒼きハイエナたちの時代 174~177 ――

市役所からの帰り道、自転車に乗って信号待ちをしていた谷原久美子は、ふと、道路の向かい側でやはり信号が変わるのを待っている若い男が目に入った。
年の頃は20歳過ぎか。Tシャツにジーンズ、スニーカーで片手に布バッグ。いかにも大学生といった雰囲気である。
行き交う車の間から、男の姿態を見た。がっしりした上半身。たくましく伸びた腕。大きな手。
スラーッと伸びた脚が現代的で、まぶしかった。
久美子は、瞬時に別の世界にトリップしていた。
あの青年が、そそり立ったシンボルをあの手で握りしめ、激しくしごいている。青年は恍惚の表情。
そして、そのうち、全裸であおむけになった自分に覆い被さってくる青年。
格好だけの抵抗など一蹴され、がっちり抱きしめられたまま、乱暴に犯される――。
はたと気づくと、青年がこちらに向かって歩いてきていた。
信号が変わったのだ。
久美子は、我に返ると、歩き出した。顔が自然に熱くなっていた。つかの間の妄想に浸っている間、自分は、どんな惚けた表情をしていたのだろうと、情けなくなった。

帰宅した。
ちょうど正午だった。
手を洗って、居間にこしかける。けだるい時間が流れていく一方で、自分のカラダはますます盛っていった。どうしたことだろう。
別の自分に生まれ変わったかのような感じ。
白昼から、嫌な女になろうとしているのである。
しかし、自分への嫌悪感など過去の遺物と化していた。
信号待ちの時に見た、あの青年の姿態が脳裏に浮かんできた。
いや、厳密に言うと、「姿態」ではなく、「股間」である。
あのジーンズの中には、どんなシンボルが隠されているのだろう。あのシンボルで満たされる幸運な、妬ましい女はいるのだろうか。
ますます嫌な女になりながら、久美子は脚の付け根をよじり合わせた。
おもむろに久美子は、愛用のショルダーポーチに手を伸ばした。そして中からポケットティッシュを取り出した。
表面に「奥様専用 出会いのテレホン」と書かれてある。駅前で手渡されたものだ。そんな類のティッシュなど、以前から何気なくもらい、何気なく使っていた。
しかし、ここ最近、その「テレホン」への興味が募っていた。あの男からの電話がかかってくるようになってからである。
久美子は受話器を手に取った。ティッシュの表面の「0120」で始まる電話番号が目に飛び込んできた。
ダイヤルしようかしまいか、久美子は躊躇した。まさに清水寺の舞台に立って、下を見下ろしているような気分だった。
受話器を握る手が汗ばんできた。鼓動が高鳴る。
ふと、あのイタズラ電話の内容を息をひそめて聞いている自分のことを思った。
しょせん、あそこまで自分に対して正直になれる身。何を迷うことがあろうか。
まして、その「出会いテレホン」の中身など、全くわからないのである。
久美子は思いきって番号をダイヤルした。

すぐにかかった。
「おつなぎしますので、しばらくお待ちください」との女のアナウンスの後、すぐにチャイムの音が鳴り、「お相手とつながりました。素敵な会話をお楽しみください。な
お、お相手を変えるときは『#』を押してください」と説明があった。
久美子が当惑していると、相手が出た。
「もしもし」
若い男の声である。
久美子が言葉を出せずにいると、再度、相手は「もしもし?」と繰り返した。
「はい……」
久美子がか細く、震える声で返すと、男は、「よかった、イタズラかと思いました」と言った。
「イタズラ?」
「ええ。なんだか、冷やかしが多いんです。さっきも無言だったし」
「そうなんですか……」
声の感じからして、相手は20代前半だろう。
それにしても、そのフランクな雰囲気に久美子の緊張の糸は解けかけた。
「僕、23の若造ですが、いいですか?」
思った通りだった。
「それは……ええ、いいですよ」。
「いいです」どころではない。貪欲な年増女にしてみれば「23歳」など願ったりかなったりである。
「よく、電話されるんですか?」
「23歳」はどこまでも礼儀正しい。
「いいえ、初めてなんですよ」
「そうなんですか、へえーっ。この電話はどこで知ったんですか?」
「ええ、街で、もらったティッシュで……」
「やっぱり。そういう人、多いですよ」
「多いって、よく話すんですか?」
「話しますよ。ここ、すぐにつながるんですよ。それだけ、かけてくる女性が多いってことです」
「でも、若い人ばかりでしょうに……」
久美子は気後れしながらつぶやいた。
「そういう奥さんは、おいくつなんですか? さしつかえなければ、教えてください」
久美子は口ごもった。
相手は23歳。自分は母親ほども離れた年の身である。
「聞きたいなぁ」
「23歳」は少し馴れ馴れしそうに言った。
「でも……うんと年上だから……」
久美子はせっかくつながった相手との糸が切れてしまいはしないか、不安になった。
「ええ? いいですよ! 僕、『うんと年上』、大好きだから」
「えっ!?」
「そう、大好き」
「年上って、どのくらいまでが……」
「うん。僕は、40代とか、50代の人探してるんです。でもなかなか出会えなくて……」
「えっ!? 本当に……」
「本当ですよ」
久美子は全身が熱くなっていくのを覚えた。
そして、あのイタズラ電話の男のことが頭をよぎった。あの男も、自分を40代と知って欲しているのだろうか。
「さぁ、本当の年を言ってください。とっても聞きたいです」
「23歳」が促した。
「えっ? ええ。でも……ええ……ほんとうは、わたしは……よん……46になるの……」
言葉の末尾がかすかに震えた。
「わぁ、マジぃ? うれしい! ほんとにうれしいです! 奥さんぐらいの人、探してたんです! あぁぁ」
男の取り乱しように、久美子は腰のあたりに甘いうずきを覚えた。

「『出会い』を求めて、ここに電話してくるんですか?」
久美子は聞いた。
「はい。出会い……率直に言えば、『ヤリ友』探しです」
「ヤリトモ?」
「あっ、あはははっ、すいません、いきなりで……つまり、その……セックスフレンドっていうか……」
「えっ? あぁあぁ」
久美子は合点した。
そして、セックスの相手を求めている23歳の若い男と、電話とはいえ、接しているという事実に煩悩が燃えさかり始めた。
しかもその男は、自分ほどの年代の女を求めているというのである。
「あぁ、僕のこと、『せいや』って読んでください。奥さんの名は?」
「私……久美子です」
つい本当の名前を口走ってしまうほど、久美子は夢見心地だった。
「ねぇ、久美子さんは、旦那さんとセックスしてますか?」
久美子はせいやの唐突な質問にたじろいだ。
しかし、今さら、20以上も年上の自分が恥じらうのも滑稽だと思い直した。
「ほどほどには……」
「へえっ、週に何回?」
「そんな……『月に』ってところですよ」
「えぇっ、もったいないなぁ。僕だったら、毎日でも抱きたいですよ」
相手はじわりじわりと、久美子の飢えた心に密着してきた。
あくまで自然体で、嫌悪感を催させない巧みさを伴いながらであった。
「それで、満足なんですか?」
「うーん……そんなことはないわ……」
「じゃあ、たとえば、満ち足りない時って、独りでしたりとかは?……いわゆるオナニー。あっ、これって、いろんな奥様と話しましたけど、ほとんどの人が『してる』って、答えてくれました」
「そうなの?……確かに、そうなりますね……」
「なさるんですか? オナニー」「ええ……」
親しい同性の友人たちにさえしたことのない性の話を、久美子は、見ず知らずの、子供ほどの若者に告白していた。
「そんな、上品そうな、慎ましそうな久美子さんでも、なさるんですね。オナニー」
直接的な言葉が、久美子の子宮をジンジン刺激する。
「見てみたいなぁ、久美子さんのオナニー」
「ふふふ」
どう返せばいいかわからない。
そして、触れずとも、既にパンティーの裏地を汚すほど、反応しているという確信が久美子にはあった。
あのイタズラ電話と違って、相手と言葉のやり取りをするなかで、より高揚した。
非日常的な、20代の若者との睦言。それが、電話一本で即座に実現してしまったのだ。
久美子は、もはや這い上がれないであろう欲望の谷底に墜ちていく自分を実感していた。

「久美子さん、僕、実は、さっきから、チンポ、しごいてるんです」
「えっ? 本当に?」
わざと驚いてみせた久美子。しかし、そんなことは薄々さとっていた。
そして、自分もスカートの中に手を潜り込ませ、バンティーに手を入れて、たっぷり濡れた肉裂をいつまでも確認していたのだ。
「しごいててもいいですか?……」
「ええ、いいわ……」
「久美子さんも、触ってください」
「ええ……」
久美子は、あてがっていた指を本格的に動かし始めた。
「あぁぁ……」
思わず声が出た。

「久美子さん……本当は、こんないやらしいこと、してなさそうな、まじめな、雰囲気の奥さんなんでしょう……」
「あぁぁ……そうよ……」
せいやの言葉、一つ一つが久美子の花芯をうずかせる。
「いやらしいなぁ……周りの人たちは、久美子さんのこんな姿、想像もしないでしょうね、久美子さんの、本性を垣間見ることができた僕って、すごくラッキー……」
「あぁぁぁ……」
いつしか全裸になった久美子。指は根元まで膣に飲み込まれ、ざらざらした内壁をいじっている。
あふれ出た蜜は手のひら全体にいきわたっていた。頭の中は真っ白である。
「あぁぁぁぁっ……あぁぁぁぁっ……」
あのイタズラ電話の時のように、声を殺さなくてもいいのだ。
久美子は、夫との時にもあげたことのないような声を、見ず知らずの若い男に聞かせた。
「久美子さん……お願いがあるんですけど……」
「はぁはぁ……なに?……」
「濡れたあそこの音、聞かせてください……」
「えっ?……どうやって……」
「いじりながら、受話器を近づけて……僕、その音、聞きながら、思いっきり、チンポしごきたい……」
素っ裸の久美子は、迷うことなく受話器を股ぐらに当てた。そして、2本の指で女陰を勢いよくくじり回した。
クッチョンクッチョンと、そこが、景気の良い淫音を発した。
「あぁぁぁ、たまらない……すごく聞こえる、いやらしい、久美子さんのオマンコの音……」
久美子は、せいやが青々としたたくましい肉棒を狂ったようにしごき上げている光景を思い浮かべながら、この上なく激しくいじった。
「きこえた?……」
「あぁぁ……きこえました……久美子おばさんのオマンコ、舐めたいぃぃ、愛液、飲みたいぃぃぃ……ズズーッ、チュパッ、ブチャッ、チュー、ハァハァハァ……」
「あぁぁぁぁ……」
久美子は、せいやの求めに応じて、卑わいな言葉も口にさせられた。
「久美子のおっぱい、吸って」
「久美子のお尻の穴、ぺろぺろ舐めて」
「久美子のオマンコのびらびら、つまんで、引っ張って、噛んで」
「久美子のオマンコ、ほじって」
「お汁すすって」
この上なくエスカレートする2人。
「もう我慢できない! 入れるよ、チンポ入れるよ、久美子のオマンコに!」
「入れてぇ! せいやのチンポ入れてぇぇ!」
久美子は軟体動物のように白くしなやかなカラダをくねらせながら、悶絶した。
途中から床に敷いたタオルもぐっしょりと濡れてしまった。
「あっあっあぁぁ、いくよ、くみこぉ!」
「あぁぁぁっ、あっあぁっ、きてぇ!」
昼下がり、民生委員・谷原久美子は、完全に壊れてしまった。

 

 

―― 蒼きハイエナたちの時代 178 ――

「いってらっしゃい、気を付けてね」
その朝、夫、高校生の息子、そして、最後に中学生の娘を送り出した久美子。その後は、朝食の後片づけ、掃除、洗濯。あっという間に、約束の10時になってしまった。
久美子は洗濯物を脱水機に放り込んだまま、受話器を取ると、ダイヤルした。
「もしもし……」
自分でも声がいやに弾んでいるのが分かる。
「もしもしぃ」
23歳の大学生・誠也は寝ぼけ声だ。
「まだ、寝床かしら」
「あっ、ええ、昨日、夜更かししちゃったんで」
ツーショットダイヤルで知り合った大学生と意気投合し、教えてもらったアパートの番号に電話をかけている、いい年の女。
久美子は“目覚めて”しまったのだった。
「でも、久美子さんからの電話、待ってたんですよー」
ガラガラ声でそんなふうに言われると、久美子は年甲斐もなく、キュンと胸がときめいた。
「きょうは、学校へは何時ごろ、行くの?」
「そうですね、何時ごろかな、気が向いたら行くかな、へへへ」
「まぁ。うふふふ」
始まりはいつも、他愛もない話からである。
「ところで、朝からもう、ビンビンなんですよー」
誠也が屈託のない調子で言う。久美子が、そちらの話題を待っていたことは言うまでもない。
「まぁ。なんてことを……」
せめてもの貞淑さを装ってそう言ったものの、語尾が揺れた。
「ほらっ、受話器を叩いてみますよ、ちんちんで」
誠也がそう言うと、電話越しに、「バン! バン!」と威勢の良い音がした。
「どうです、カチンカチンでしょう」
久美子は固くしこってきた胸をつかみしめて、かすかにうめいた。
数分後、本格的な“バトル”となっていた。
「あぁ、あぁっ、せいやくぅん……あぁ」
うつぶせになった久美子は、ブラウスから“片パイ”だけ出して、下半身はスッポンポン。
左手を股間の下に敷いて、尻を縦横無尽に動かして感じていた。
「くみこさぁん……あぁ、僕のちんぽがズボズボ、はいってるよぉ」
誠也の甘えたような声が受話器から垂れ流される。
「あぁぁっ、いきそうよ……」
「いっしょにいきましょう、あぁ、くみこさん……」
久美子は、会ったこともない23歳の若い男の声に魅了されながら、激しく昇りつめていった。
そして、電話を切ると、何ごともなかったかのように、洗濯などの家事に没入し、民生委員の顔をして、近所の家々を訪問していくのである。
あのイタズラ電話は、その後も何回かかかってきた。しかし、久美子はその度に、にべもなく切った。
誠也と知り合った以上、そんな電話も“用なし”になったのだった。

 

 

―― 蒼きハイエナたちの時代 179~180 ――

まるで、極の違う磁石同士だった。

谷原久美子は、喫茶店の隅っこの席に座りながら、自分の大胆さに半ば呆れていた。
テーブルの向こうに座る誠也は、小柄で、色白で、やや小太りだった。
今時の優男を思い描いていた久美子は少し驚いたが、落胆はしなかった。
いやむしろ、電話の時と違い、シャイで初々しい感じのするその若者に、母性本能を激しく刺激されたのだ。
顔を赤らめながら、会話の間を作るまいと話題を投げかけてくる23歳の誠也を、久美子は微笑ましく見つめた。
そして、彼の小ぶりな口元を眺めながら、受話器から聞こえてきた卑わいな言葉の数々を思い出していた。
久美子がテーブルの上のレシートを手に取った。2人の行く末は完全に確定していた。

ホテルを見つけるのに手間取った。2人は中途半端な距離を保ちながら、30分は歩いただろうか。
しかし、お互い、躊躇する素振りなど全く見せなかった。
やはり年の功、久美子のほうが堂々としていた。盲目的なまでに、久美子は禁忌の扉を探し求めた。
やっとたどり着いた白亜の館。2人は一直線に吸い込まれた。
フロントで鍵を受け取り、エレベーターに乗り込んだ時、20代同士と思しきカップルとすれ違った。
久美子と誠也を見た彼らの怪訝そうな顔が、より互いの磁力を強めた。
エレベーターの扉が閉まると、久美子は思わず誠也の手を握った。相手の手は汗ばんでいた。
続いて久美子は誠也に向き合い、しがみつくと、求めた。ほとんど身長の変わらぬ誠也は、呼応し、久美子の唇に唇を重ねてきた。
あぁ、ついに……。そんな感慨を抱きながら、久美子はカラダを小刻みに震わせた。
ぎごちない唇が久美子を求めてくる。
久美子は舌を差し出した。コーヒーの香りのする唾液が混ざり合い、切なげな息づかいが交錯する。
ぶきっちょな舌。久美子の肩を固くつかんだままじっと動かない手。伝わってくる激し過ぎる鼓動。
久美子は、電話であれほど大胆だったこの青年の本当の姿を知った。
エレベーターが階に着いて停まっても、なお貪り合っていた2人。思い出したように久美子は、一旦閉じられた扉を開き、外に出た。

鍵を開けて薄明かりの部屋に入ると、そのまま2人は、糊の利いたシーツがしつらえられたベッドにもつれ込んだ。
今度は反転、誠也が上になり、久美子を激しく求めた。
柔らかく、濡れた唇が、あえぎ声を漏らそうとする久美子の口をふさいだ。
両手を固く握り合わせながら、年の離れた恋人同士は、陶酔の波間を漂った。
誠也は、次第に「いつもの誠也」になっていった。
チノパン越しでもパンパンに張っていることが分かる股間を、久美子の下腹部に押しつけながら、耳元で「会えてよかったです。うれしいです」と囁いた。
久美子は一瞬、夫や子供たちの顔が脳に浮かび、ゾッとしたが、耳の穴に熱い息を吐きかけられて、我を失った。

 

 

―― 蒼きハイエナたちの時代 181 ――

午前8時。山名真佐子は、混雑する駅のプラットホームに立っていた。
電車が入ってきた。やがて停車し、ドアが開くとおびただしい人が吐き出される。同時に、列を作っていたホームの人々がゾロゾロとドアに群がる。
真佐子は背後から木山に小突かれて、その人混みの中に進んでいった。
朝のラッシュアワーの電車に乗ったことなど稀な真佐子だった。
しかし、今こうして、欲望を剥き出しにした少年のたくらみによって、気違いじみた空間の中へ押しやられていったのである。
真佐子は真ん中のあたりまで押し込まれた。目の前の大柄な背広男の背中に顔が押しつけられる格好となった。
しかし、さらに後方から押されていく。正気の沙汰ではない。
真佐子は、胸部に圧迫感を覚えて思わず「ウッ!」とうめいてしまった。
ドアがなんとか閉められ、電車はゆっくりと動き始めた。
しかし、真佐子がホッと一息つく暇はなかった。
スカート越しに尻をつかまれた。前のほうから股間に別の手があてがわれた。さらには乳房にまた手が伸びてきた。
後ろから尻をつかんでいるのは木山だった。そして、左右から乳房と股間に挑んできたのは、その朝、紹介されたばかりの若い男2人であった。

ともに20代くらいのその男たちは、木山がインターネットを通じて募った、いわゆる“痴漢マニア”だった。
伝言板サイトに、「いっしょに熟女を痴漢しませんか」との書き込みを行ったところ、十数人の申し込みが殺到。その中から選ばれた2人だったのだ。
事前に写真を見せられていて意気込んでいた2人だったが、実物の真佐子を見て、さらに欣喜雀躍した。
気品が漂い、それでいて生々しい生活感をたたえた50がらみの真佐子は、2人にとって、好みのタイプだったからだ。
そして、写真で見る以上に大きく突き出した乳房に、2人はため息をもらした。

無口な人々と、けだるい時間を運んでいく電車の中、真佐子を取り巻いたその部分だけ、妙な緊張感と高揚感を醸していた。
真佐子は目をつむり、唇を噛み、身を固くしていた。
他の乗客に悟られなければそれでいい。たとえ何をされても。そんな心境だった。

 

 

―― 蒼きハイエナたちの時代 182 ――

ひんやりと湿ったようなホテルの一室で、会ったばかりの母と子ほど年の離れたカップルが絡み合っていた。
大学生の誠也は、久美子の背後に回ると、左右の乳房に手を伸ばした。
カラダに電流が走り、久美子は思わず、声を漏らした。
「あん!」
服や下着で隔てられた手の感触が、どうしようもなくもどかしい。
遠慮がちなのは最初だけ。誠也の好奇心に満ちた手のひらは、熟れた乳肉をやわやわ、じめじめと、揉んでいった。
久美子は誠也の手に軽く自分の手を重ねながら、ビクン、ビクンとカラダを痙攣させた。
誠也の唇がうなじを這う。剃り残しのヒゲが当たってチクチクして、切なくなる。背中に誠也の激しい鼓動がドキドキ伝わり、そこだけとんでもなく固い股間が尻にグリグリ押し込められる。
愛されているんだ、求められているんだ――そんな実感こそが、久美子の官能を激しく殴打し、うらぶれたホテルの部屋に久美子をすんなりと同化させた。
誠也のせっかちな手がブラウスのボタンに伸びてきた。久美子はその手を優しく包むと、自らボタンを外していった。
そして、やおら起きあがって、ブラウスをはらりと脱ぐと、スカートのホックも外していった。
どうしてこんなに大胆になれるのだろう、久美子は自分が自分でないような気がした。
しかし、今自分を突き動かしているのは、生まれてこの方、味わったことのないような、甘美な“恋心”だった。
シーツに転がった誠也は、赤ん坊のように縮こまって自分のほうを見つめている。久美子は、スリップの肩ひもを片方ずつ、落とした。
「あまりじろじろ見ないで……」
ブラジャーとパンティーだけの姿になった久美子は、か細い声でそう言うと、肉がついてきた腹部を手で隠し、誠也に背を向けて静かに横たわった。
出がけにシャワーは浴びてきた。とっておきのコロンを振ってきた。思い焦がれた若き恋人に愛されるために。
全身で興奮している誠也は、逸る手を久美子の背中のブラジャーのホックにかけた。
しかし、なかなか外せない。
久美子は再び起きあがると、自らホックを外した。
そして、しばし、ブラのカップを乳房に手であてがっていたが、すぐに外した。
大きくもなく小さくもなく、形の良いお椀型の乳房がこぼれ出た。大きめで色づいた乳輪、乳首が、生活感を漂わせている。
誠也は反射的に身を起こし、久美子の熟れた乳を凝視した。

 

 

 

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  • 蒼きハイエナたちの時代 Ⅱ
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コメント

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  • コメント (1)

    • 匿名
    • 2015年 10月 01日

    ずっと探してました!
    じっくり読みます!

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