固定ページ:
1

2

3

悪者と僕

 
あの日から、
僕は僕でなくなってしまった。

男からの衝撃的な電話のあと、しばらくして、母はお風呂から出てきた。
スーパーの袋を持って台所に現れた母は、
買い物に出かけた時とは、まるで違う服を着ていた。
僕には、
母の魂が抜けているように見えた。
お風呂上りなのに真っ青な顔をして、冷蔵庫に買ってきた物を納めていた。
いつもは楽しそうに、買ってきた物を一つ一つ確かめて冷蔵庫に入れる母が、
なんだか違う所に視線を漂わせて、卵のパックを、そして野菜を手に取っていた。

「お母さん」

近づいても、声をかけるまで僕に気づかなかった母が、びくっと手を止めた。
嘘のような電話に逆上し、混乱していた僕も、
あらためて母を見たとき、あの男の言葉を、現実のものとして受け止めた。
母の手首には、
何かを巻きつけられた痕が刻まれていた。
母は、僕の目線を気にしてなのか、その赤い痕をセーターの袖口でそっと隠した。

「少し、気分が悪くて、 、」

その身を隠すように、小さな声で母は言った。
――やっぱり本当なんだ、本当にお母さんは、
僕は何も言えずに、
黙って自分の部屋に向かった。

僕は初めて、母を想いながらマスターベーションをした。
部屋の中で、母の姿と男の声を思い出すと、むくむくとペニスが勃起してきた。
それを抑えることは、僕にはできなかった。
母は、日ごろ履かない靴下を履いていた。
きっと足首にも、
もしかしたら体中にロープの痕があるのかも知れなかった。
――お母さん、縛られて、 
想像し始めると、もう止められなかった。
恥ずかしい姿でレイプされる母、
経験があるはずのない肛門までも犯され、、
そして顎がしびれるまでフェラチオを強制された母。
あの男の言った通り、僕は情けない息子だった。
僕は血をたぎらせ、固くなったペニスをしごき続けた。

晩ご飯になって、僕が一階に下りて行くと、
塾から帰った弟が、すでに食事を始めていた。
父はその日も遅いらしく、僕たちは三人で晩ご飯を食べた。
当り前かも知れないけれど、母は、ほとんど料理に手をつけなかった。
暗く沈みこんだ表情で、皿の上で止めた箸を見つめていた。

「お母さん、どうしたの」

その姿を心配したのか、弟が口の中にご飯を入れたまま尋ねた。
母は「少し、気分が悪くて、 、」と、さっき僕に言ったことを繰り返した。
それでも、母はつかのま笑顔を見せた。
きっと死ぬほど辛いはずなのに、
僕たちの夕食を作り、食事の世話をしてくれる母だった。
こんな時でも家庭の主婦として、その役目をきちんと果たす母が立派に思えた。
息子を心配させまいと笑顔を作る母が、とても強い人に見えた。
でも、
そんな母がレイプされた事実は、
どうしようもなく、僕の血をうずうずとたぎらせた。

その夜、
僕は勝手口にある大きなポリバケツをあさった。
僕の姿は、残飯をあさる野良猫のようだったかも知れない。

もしかしたら、と思った通り、
黒いビニールのゴミ袋の中に、昼間、母が着ていた服が入っていた。
街灯の薄明かりの下で、手にとって見ると、それらは無惨なものになっていた。
セーターの肩口や胸元、
それにスカートは裾から斜めに、切り裂かれていた。
なめらかな手触りのスリップも、一方の肩ひもが千切れていた。
もっと別なもの、
母の下着がありはしないかと、僕は袋の中をさらに探った。
でも、母のブラジャーもパンティーも、その中にはなかった。
あの男に奪われたままなのか、それとも切り刻まれて用を成さなくなったのか、
そのどちらにしても、
家に帰ってきた母は、コートの下にみじめな姿を隠していたのだった。
三月になっても、寒い夜だった。
しかし、吹きつける冷たい風を感じないほどに、僕の全身は熱くなった。

日が経つにつれて、
どんどん僕が僕でなくなっていった。

母は、自分の身に起きた災難を誰にも言っていないようだった。
父は相変わらずお人好しのままで、ご飯の時も楽しそうに笑っていた。
家族の前では、
母もいつもと変わらずにふる舞っていた。
でも、母の笑顔が作り笑いであることを、
そして時おり見せる暗い表情の理由を、僕だけが知っていた。

手首の赤い痕、切り裂かれた衣服、
それらは、僕の想像を限りなく淫らで残酷なものにした。
――見てみたい、
どんな姿でレイプされ、
そのとき母がどんな顔をしていたのか、見たくてたまらなかった。
部屋の中で、
僕は、小さなメモ用紙を繰り返し、何度も見た。
そこに記されているのは、ただの数字の羅列ではなかった。
その数字は、僕のドロドロした欲求を満たす、母の無惨な姿につながっていた。

十日ほど経った火曜日、
一時限目の授業の最中に、僕はどうにも我慢ができなくなった。
古文の先生のスカートが、あの切り裂かれた母のスカートと同じ色だった。
――お母さんは、あのスカートを破られて、
形もよく似ていたし、
そのスカートを目の前にした僕は、ついに自分を見失った。
頭が痛いと嘘をついて、僕は学校を早退した。
実際、僕の顔は病的なまでに憔悴していたのか、
普段は厳しい担任の先生も『おまえ、一人で帰れるか』と、心配してくれた。

僕は、電話ボックスに駆けこみ、今はもう暗記してしまった数字を押した。
それが母を裏切り、
また、自分という人間をも貶める行為だと分かっていても、止められなかった。
あの男に笑われ、どれだけ馬鹿にされようとも、
僕は辱しめを受ける母の姿を、見たくてたまらなかった。

「おう、坊ずか」

最初に僕が「あの、 、」と言っただけで、男には分かったようだった。
あの男は無駄なことを一切言わず、電車の駅名を僕に告げた。
それは、いつも僕が乗降りする駅から、一つだけ隣りの駅だった。
意外なほど、あの男は近くに住んでいた。

僕がその駅の改札口を出ると、一人の男がすうっと僕に近寄ってきた。
みすぼらしい作業服を着た、中年男だった。
「行くぞ、坊ず」と、それだけ言うと、男は先になって歩き始めた。
男は、僕のことを笑ったり、からかったりしなかった。
そのかわり、歩きながら、独り言のように話し始めた。

「お袋さん、警察には言わなかったみたいだな」

電話と同じで、男の声に抑揚はなかった。

「犯された女が訴えるかどうか、それは俺にも分からん、
たぶん犯された本人も、
そのあとで自分がどういう女か、気づくはずだ、
秘密を背負って生きていく女もいれば、
裁判所で自分の受けた恥を口にする女もいる、 
俺は犯るとき、サツに捕まるのはいつも覚悟している」

男は、これまでに十人以上の女性をレイプし、
そして刑務所に四回、入れられたと言った。
僕の前を行く男の後姿は、冷たい声とは不釣合いなほど、ずんぐりしていた。
滑稽なほどに小太りの男が、
急に立ち止って、僕にふり向いた。

「俺もな、犯るときは、命をかけるんだぞ」

男は、
立ち止ったその場所で、母の運転する車の前に飛び出したと言った。
狭い十字路だったけれど、
確かに一歩間違えば、骨折だけでは済みそうに思えなかった。

「思っていた通り、おまえのお袋さんは真面目で親切だった、
誰が見ても、俺のほうが悪いのは明らかだったが、
尻もちをついて唸る俺を、必死に抱き起こしてくれてな、
見ろ、こんな薄汚い服を着た俺に、大そう優しくしてくれたぞ」

『すぐに病院へ』、そう心配する母の車に乗った男は、
心臓の薬を部屋に置いたままだと嘘をついて、母をアパートに誘い込んだらしい。

その十字路を曲がってしばらく歩くと、男の住むアパートがあった。
周囲の住宅やマンションとはまるで違う、木造の古いアパートだった。
僕はこういうアパートを初めて見た。
板張りの廊下をはさんで、その両側に部屋のドアが並んでいた。
廊下を歩くとみしみしと音がして、それになんだか公衆便所のような臭いがした。

「おまえのお袋さん、嫌な顔ひとつしないで、
足を引きずる俺を支えてくれてな、部屋の中にまで、入って来てくれたぞ」

ドアを開けた男に続いて、僕はその部屋に入った。
そこは、僕の部屋よりも狭い空間だった。
トイレも風呂も、そして台所もなかった。
黄ばんだカーテンが閉じられたままの薄暗い部屋に、男が蛍光灯をつけた。
赤茶けた畳の上には、汚い布団が敷かれたままだった。
家具らしいものは、古い洋服ダンスが一つあるだけだった。
コンビニ弁当のからや、雑誌が散らばる部屋の中は、饐えた臭いに満ちていた。

「さすがの俺もな、あんなに優しい女を襲うのは、
少し気が引けたが、 、今のおまえと一緒だ、欲望には勝てないもんだ」

僕は、汚い部屋の隅にそこだけ違和感のある物を見た。
最新機種と思われるノートパソコンとプリンターが、並べて置いてあった。
男はそこから印刷された用紙の束をつかみ取り、敷布団の上にどさっと置いた。

「おまえが望んでいたものだ、まあゆっくり楽しめ」

それだけ言うと、男は部屋から出て行った。

一人、部屋に立ちすくむ僕の足元には、母の姿があった。
僕はしゃがみこんで、最初の一枚に手を伸ばした。
そして一端、部屋の壁を見上げた。
当然だけれども、
写っている場所と同じ所に、太い釘が打ちつけられていた。
僕が手にした画像の中で
母の両手を縛ったロープが、その太い釘に巻かれていた。
両手を頭上で縛られた母が、壁を背にして立たされていた。
自由を奪われるまで、
よほど抵抗したのか、母の髪はものすごく乱れていた。
でも、カメラのレンズから逃れようと、
顔をそむける母の衣服には、まだ異常はなかった。
最初の一枚目に写っていた母の服は、出かけた時と同じままだった。
――これから、始まるんだ
足がガクガク震えて、しゃがみこんだ体を支えきれなくなった。

僕はあぐらをかいて敷布団の上に座ると、次の画像を手にとった。
母の顔がアップで写っていた。
何かを耐えるように、目を閉じる母の顔だった。
何枚か、そんな母の表情を写したものが続いたあと、ぱっと構図が変わった。
――あっ、お母さん、
最初の一枚目と同じアングルだったけれど、母の衣服に違いがあった。
セーターの胸元が切り裂かれ、そこから片方の乳房が露出していた。
そして母の両膝には、
白いパンティーが絡まっていた。
下から斜めに切り裂かれたスカートがめくられて、
太腿と、その上にある陰毛のかげりが垣間見えていた。

でも、そんな姿を写したのは一枚きりで、
また、母の顔をアップで写したものが何枚も続いた。
ただ、
それらは写した場所が違っていて、僕があぐらをかく敷布団の上で写されていた。
母は、髪をふり乱して叫んでいた。
たて続けにシャッターを押したのか、一枚一枚つながりがあるように見えた。
右に左に、顔をふりながら、母は何かを叫んでいた。
カメラを持つ手がぶれるのか、どの構図も乱雑で、
母の顔が斜めになったり、片方の表情が写っていなかったりした。
僕の母は、
のけぞって白い首すじを見せ、必死に何かを叫んでいた。
それからずっと、母の顔ばかり写したものが続いた。
何かを耐え忍ぶように、
唇を噛みしめて、固く目を閉じる母の顔もあった。
その閉じた目から、涙がこぼれていた。

そんな母の表情は、どの一枚も僕を興奮させたけれど、
束になった紙をいくらめくっても同じものが続き、僕は少し不満を持った。
最後の二枚だけは、
全裸の母が縛られている姿だった。
左右それぞれの手首と足首を一緒に縛られて、いびつに体を折りまげていた。
そんな母の姿を、横から写したものだった。
一枚は、
敷布団の上に仰向けに転がされて、足の裏を真上に向けていた。              
もう一枚は、うつ伏せにされたもので、極端なほど、お尻を高く突き出していた。

僕は、こういう姿の母を見たかったのだけれど、やはり不満が残った。
もっと直接的で、あからさまな姿を見たかった。
母の性器がどんな色と形をしているのか知りたかった。
その性器に男根が入っている様子や、
肛門を突き刺された瞬間も見てみたかった。
それに、フェラチオを強制される母の顔にも興味をそそられた。
男が置いていった束のなかに、そんな画像は一切なかった。
学生ズボンの中でペニスは勃起していたけれど、
やるせない不満で苛々する僕は、マスターベーションをする気になれなかった。
――あいつ、わざと、
あの男は人の心を弄んで喜ぶ奴だ、それくらい僕にも分かっていた。
きっとほかにもあるはずだ、
そう思って、僕は部屋の隅に置かれたノートパソコンに目を向けた。
よほど自分で電源を入れて、中身を覗こうかと思った。
そんな時、あの男が戻ってきた。

「なんだ坊ずその顔は、気に入らなかったのか」

僕の顔を見て、
男はそんなふうに言ったけれど、別になんとも思っていないようだった。
でも「こんな物もあるぞ」と、洋服ダンスの扉を開けた。
男が手にした透明なビニール袋には、
母のブラジャーとパンティーが入っていた。

「あんな美人でも、股の間は汚してるもんだ」

男は袋を開けて、白いパンティーを裏返すと、それを僕に向かって放り投げた。
あの母らしい、ほとんど飾りけのない下着だった。
そこには、乾いて灰色になった縦ジミが付いていた。

「そのシミなんか、上品なもんだぞ、
すこぶる美人でも、ひどいのになると、
べっとり滓りものをつけてやがるからな」

ほんの微かに、酸っぱいような匂いを嗅ぐ僕の頭に、ブラジャーが落ちてきた。
そのブラジャーは、両方の肩ひもが千切れていた。

「あのな坊ず、もろ見えの写真など、俺の趣味に合わんのだ、
 まあしかし、ひょっとしたら、実物が見れるかもしれないぞ」

これまで男は、一度レイプした女性には、二度と手を出さなかったそうだ。
でも、僕の母は別だと言った。
そして「おまえという小道具もあるしな」と、無気味に笑った。
男は外に出ている間に、僕の母へ電話したようだった。

「ここへ来るか来ないか、やはり俺にも分からん、
もしかしたら、これをきっかけに、もう警察へ電話しているかもな、
おまえのお袋さんの代わりに、サツがここへやって来るかも知れん」

男は平然としていた。
僕は、なんだか恐ろしくなってきた。
警察がやって来るのも恐かったけれど、
それ以上に、母がこの場にやって来たらどうしようかと恐くなった。
こんな所にいる僕を、母はなんと思うだろう。
そして僕には、こんな所で母と向き合う勇気などあるはずもなかった。

「かりに、お袋さんが来るとしても、
それは俺を殺しにやって来るのかも知れんな、
人間は、特に女は、その時になってみないと、よく分からん」

男は、また無気味に笑って「まあ、覚悟はできてるがな」と、つけ加えた。
僕はますます恐ろしくなってきた。
今ならまだ間に合う、すぐに帰ろうと思った。
僕は、本当にそう思った。
でも、男が「おや、誰か来たようだな」と、僕よりも早くその靴音を耳にした。
板張りの廊下に響く硬い靴音が、ゆっくり近づいてきた。
古い木造アパートの部屋には、
それが、たぶんハイヒールの音だと分かるほど、よく響いてきた。
僕はどうしたらいいのか慌ててしまい、すがるように男を見た。
そんな僕を無視して、男は部屋のドアをじっと見ていた。

靴音が部屋の前で止まったきり、
何も起こらなかったけれど、でも、しばらくするとドアがノックされた。
弱々しいノックの音だった。

「おまえはこの中にいろ、
心配するな、俺がうまくやってやる」

小声で言った男は、僕を古い洋服ダンスに押し込んだ。
その中は汗臭くて、息苦しかったけれど、
ほんの少し扉を開いただけで、狭い部屋の様子が見渡せた。
ドアを開けた男が「よく来たな、奥さん」と言った通り、
部屋の入口には、朝ご飯の時と同じ服を着た、僕の母が立っていた。

「、 、あの、今はこれが精一杯なんです、
どうか、これで堪忍してください、 、 」

いつも家で耳にする、まぎれもない母の声だった。
でも、『世の中の男はみんな私に夢中なの』と、
明るく言ってのけた母とは、まるで別人のようだった。
母は、部屋に入るのを拒むように、
手にした厚みのある封筒を差し出した。

「そうか、分かった、
奥さん、俺に抱かれるのが嫌なら、さっさと帰りな」

男はそう言って、躊躇いもなくドアを閉めた。
――あっ、
お母さんが帰ってしまう――、つい僕はそう思ってしまった。
さっきまでは怯えていた僕の、それが本音だったのかも知れない。
閉じたままのドアを、タンスの隙間から見つめる僕は、
なんで閉めたんだ――、またそう思ってしまった。

ただ、男はドアの前から離れなかった。
帰っていく母の靴音も、聞えてこなかった。
ずいぶん経って、
ドアがゆっくりと開いた。

「奥さん、覚悟は出来たようだな、さっ、入りな」

うつむいてドアを開けた母の手を、あの男は力強く引いた。
自分でドアを開けた母は、
それでも男を拒み「待ってください」と必死に訴えた。

「本当に、今日で終わりなんですか」

「奥さん、俺は約束は守る、
この前も、中には出さなかっただろう、
俺は言ったことは必ず守る、 、奥さん、今日で最後だ」

その言葉で、母の力が抜けたように見えた。
男に手を引かれる母は、ハイヒールを脱ぐと、虚ろな表情で部屋に入った。
母の顔は暗かったけれど、
それでも母が入ってくると、この薄汚い部屋も華やいで見えた。

部屋の中央で、男はすぐに母の服へ手をかけた。
ふわふわした生地の桜色をしたセーターが、胸元までたくし上げられた。
母はまったく逆らわなかったし、脱がされる時、自ら腕を上げた。

「いい匂いがするじゃないか、
奥さん、あんた出がけにシャワーでも浴びたようだな」

男は膝を曲げてロングスカートのホックに手をかけ、
「この前、マンコと肛門の匂いを笑われて、恥ずかしかったのか」と、
楽しむように母を見上げた。

「笑われないように、しっかり洗ってきたのか」

身をよじって胸元に両手をおく母が、その顔を赤らめた。
ロングスカートが足元にすべり落ちたあと、
男はレースの飾りがついたスリップをまくって、ストッキングを脱がせた。
そのあいだ男は「あれから旦那には抱かれたか」と、母に尋ねた。
母は、力なく首を横にふった。

母は、男の言い成りになっていた。
スリップの肩ひもに男の指がかかると、母は自ら両腕を下げた。
小太りの男が側にいるから余計に、母の体は細く見えた。
ただ、母の腰だけは、
そこだけ別な物のように、ベージュのパンティーを張りつめさせていた。

男が、タンスに隠れる僕のほうにやって来た。
扉を開けるのかと思って、僕は慌てたけれど、そうではなかった。
男は腰をかがめて、下の引出しを開けたようだった。
あの日の記憶が蘇えるのか、
それを見た母が怯えて後ずさった。

「そんなもの、使わないでくださいっ」

男は、使い込まれて黒くなったロープを手にしていた。
近づく男から逃れようと、母は壁際まで後ずさった。
男は、「今日で最後だ」と冷たく言って、嫌がる母の手首にロープを巻きつけた。
この部屋で、
僕が最初に見た画像のように、母の両手首が、壁の太い釘に括られた。
そして男は、両腕を上げた母に目隠しをした。

「どうして、こんな、 、」

目隠しをされて不安がる母に、男は「近所の小僧がな」と言った。

「おい、もう出てきてもいいぞ」

まさかこんな成り行きになるとは思っていなかった。
いきなり男に声をかけられて、僕は戸惑ったけれど、「早く来い」と促されて、
嫌な匂いのこもるタンスの扉をあけた。
母は「約束が違いますっ」と男を非難し、僕が近づいて行くと、
もう一人の人間の気配を感じたのか、「誰、 、誰なの」と怯えた声で、
目隠しをされて見えない目を、僕に向けた。
ブラジャーとパンティーだけを身につけた母は、
体を横にねじって、新たな凌辱者の視線から逃れようとした。

「今日で最後なのは嘘じゃないが、
奥さん、今日は童貞のガキの、相手をしてやってくれ」

「そんな、 、」

両腕を上げた母の腋は、
わずかに毛根が見える程度で、綺麗に手入れされていた。
ブラジャーに包まれた胸は、幼い頃の記憶の通り、あまり大きくはなった。
でも、横向きになって細く見えるウエストとは違って、
お尻の丸みは、タンスの中から見たときよりも、重そうな形をしていた。
僕は、母の体に触れたくて堪らなくなった。

「坊ず、おまえの好きにしろ」

母の目が見えないと分かっているから、僕は大胆になれた。
ブラジャーを乱暴に押し上げて、
母の乳房をもみ、乳首を吸った。
母は、僕をふり切ろうと、体を左右によじった。
それでも僕は、母の乳房をつかんで放さなかった。

男は、そんな僕を無視して、
「奥さん、あんた、旦那の他に何人の男を知っている」と母に尋ねた。
乳房をもむ僕の力が強すぎるのか、
母は時おり「うっ」と苦痛を訴えるばかりで、男の問いには答えなかった。

「こいつも、自分の初めての相手が、どんな女なのか気になるだろうしな、
別に嘘でもいいじゃないか、
奥さんの口から出た言葉を、こいつが信じれば、それでいいだけの話だ」

何度も男に尋ねられ、母は拒みきれないと諦めたのか「ふ、二人です」と答えた。
僕はドキッとして、なおさら強く乳房をつかんでしまった。
また、「うっ」と痛みに耐える母に、男は「そいつらは浮気の相手か」と尋ねた。
この時ばかりは母も、すぐに答えた。

「私はそんな女じゃありませんっ」

僕が赤ちゃんのとき吸ったはずの乳首が、固くなってきた。
母は、何もかも諦めたように、男の問いに答え始めた。
僕に乳首をいじられながら、
初めての時は「大学二年の時です」と答え、
二人目の相手は「会社の、同期の人です」と小さな声で言った。
「そいつらには、フェラチオをしてやったのか」と、男に訊かれた母が、
しばらくためらって「、 、しました」と言った時、僕はかっと熱くなった。

パンティーに両手をかけると、思いっきり力を入れて引き下げた。
下着を奪われた母は、
片足をくの字に曲げて股間を隠そうとした。

「奥さん、下着をはき替えて来たようだな、
今日はパンティーが汚れてないじゃないか」

僕が脱がしたパンティーを、男は手に取って裏返した。
そして男は、「綺麗に洗ったところを、小僧に見せてやれ」と、
くの字に曲げた母の膝を両手でつかみ、もの凄い力で引き上げた。
しかも、引き上げただけではなく、
膝が壁にぴったり当たるまで、その片足を割り広げた。
体を支えるもう一方の母の足が、ぶるぶると震え、太腿が引き攣っていた。

僕たち高校生の間でも、裏ビデオや、いわゆるモロ画像など、
大して珍しいものではなかったし、僕も何度か観たことがあった。
でも、初めて実物をまじかで見ると、
しかもそれが母の性器であるだけに、僕はなんだかショックを受けた。
母の乳首は小さくて、全然いやらしさを感じなかったのに、
その性器は、醜くいほどいやらしく見えて、とても母のものとは思えなかった。

「奥さん、オナニーは、いつもどんなふうにするんだ」

母の膝を抱えて、その膝を壁に押しつける男が、またしつこく尋ね始めた。
恥ずかしい姿にされた母は、ただ顔をそむけるばかりだった。
綺麗に手入れされていた腋とは違って、
母の股間は陰毛にびっしりと覆われ、性器の周りをふち取っていた。
びらびらした黒い陰唇が割れて、その中の生々しい構造が見えていた。

「奥さん、どうなんだ、道具でも使っているのか」

白い半透明の膜に覆われて、その中身が醜く光っているように見えた。    
ぷっくりと膨らんだクリトリスも、
うねるように肉がより合わさった膣口も、赤くただれて光っていた。
僕は、男の声を聞きながら、母の性器に顔を近づけた。
男は執拗に問いただしていたけれど、母の声は聞えてこなかった。
石鹸のいい匂いに混じって、生臭い匂いがした。
母の匂いを嗅いでいると、ふいに「、 、指で」という母の声がした。
――えっ、お母さん、いま何て、

「もっとはっきり言え、指でどうするんだ、奥さん」

「、 、指で、 、さすって」

僕には信じられなかった。
能天気で、弟と冗談を言い合っては笑い転げていた母がオナニーをするなんて、
いつも僕たちのために料理を作ってくれるその指で、
母がこっそりオナニーをしていたなんて、僕には信じられなかった。
男に脅されて、母はきっと嘘をついているのだと思った。
さらに男に問われて、
母は「、 、指は、 、二本、入れて」と、恥ずかしそうに答えた。

そういう女性の秘密まで口にさせられる母が可哀想になったけれど、
さっきから勃起し続けているペニスが、さらに熱く、固くなってきた。
僕の目の前にある、
母の膣にペニスを入れたくて堪らなくなった。

「なんだ坊ず、やりたくなったのか」

ズボンとパンツを脱ぐ僕を見て、
男は「寝てやるよりもな、初めての奴はこの方が簡単だ」と、
さらに母の片足を高く上げて、股間を割り広げた。
そして男は、片手で母の膝を抱えたまま、
作業服のポケットから、小さな四角い包みを取り出した。

「ほら坊ず、これをつけな」

コンドームの包みを見た僕は、首を横に振った。
それがどんな結果になろうと、僕は何もつけないでペニスを入れたかった。

「おまえ馬鹿か、童貞のおまえが、
途中で抜いて、外に出せるわけがないだろう」

それでも僕は、激しく首を横に振った。

「奥さん、この小僧がナマでしたいと言っている、
こいつは中で出すだろうが、不運と思って諦めてくれ」

母は、恥ずかしい言葉を口にさせられて、
心が傷ついているのか、うつむいたままだった。
目隠しをした紺色の帯が、涙で滲んでいた。
でも、僕がすぐ側まで近づくと、はっと顔を上げた。
意外にしっかりとした声で「あなたは、いくつなの」と、僕に顔を向けた。
僕の代わりに、男が「こいつは十六だ」と答えた。

「大人になったら、あなたは今日のことを、きっと後悔するわ」

そう言って母は、顔を伏せた。
なんと言われようと、もう僕は止められなかった。
ペニスの先が膣に触れた時、母の体がビクッと震えた。
男が言った通り、簡単だった。
立って母と向かい合ったまま、
ただ、腰を前に出すだけでよかった。
母の膣は、ほとんど濡れていなかったけれど、
ペニスの先からあふれる透明なぬめりで、腰を突き出すと、ズブッと中に入った。
母は「うっ」と、呻いて、その身を固くした。
さらに僕が突き入れると、「んっっ」と、苦しそうにのけぞった。

あれほど醜い形をしていた母の性器が、
こんなに気持ちいいものだとは思ってもいなかった。
初めて女性の体にペニスを埋めた僕は、その心地良さに酔いしれた。
すぐに射精してしまうだろうと思っていたけれど、
僕は自分でも驚くほど長続きしたし、母の膣内を味わう余裕もあった。
でも、
油断して、なまじ動いたのがいけなかった。
あっという間に出そうになった。
射精の瞬間、
痺れる快楽で自分を見失った僕は、母にしがみついて声を出してしまった。

「お、お母さんっ」

母の乳房に顔を埋めた僕は、
「春樹、 、あなた春樹なの」という、虚ろな母の声を聞いた。
そんなつもりは無かったのに、
僕は、母の目隠しを解いてしまった。

「春樹、 、」

僕と目が合った母は、
この現実を忘れたかのように、小首をかしげて僕を見た。
でも、それもほんの一瞬で、すぐに母は「いやーっ」と叫んだ。

「どうして、 、春樹っ、いやーっ」

突然、母は暴れ始めた。
そんな母をしっかり抱きしめていると、
しぼみかけていた僕のペニスが、母の膣内でまた固くなった。
僕の頭の中が、真っ白になった。
僕は下から母を突き上げた。
僕の精子でぬるぬるした膣を、思いっきり力をこめて、何度も突き上げた。
そのたびに母は叫び、涙をまき散らした。

いつしか男は、僕と母のそばから離れていた。
僕は自分で、母の片足を担ぎ上げて、腰を使っていた。
僕は、二度、射精したはずだったけれど、ペニスはすぐに固くなった。
そのペニスで、何度も母を突き上げた。
その頃になると、
母はもう全身の力をすべて抜いていた。
僕が力強く突くたびに「うっ」、「うっ」と、哀しそうに息をつまらせていた。

三度目の射精のあと、
僕が疲れ果てて座り込んでしまうと、
今度は、汚い作業服を着た男が、母に近づいて行った。

汚い布団にへたり込んだ僕には、母が気を失なっているように見えた。
まるで処刑された罪人のように、ぐったりとうな垂れていた。
縛られた両手を高くかかげて、その体を斜めに傾けていた。
小太りの男は、
髪を乱して顔を伏せる母に近づくと、その表情を下から覗きこんだ。

「奥さん、どんな気分だ」

男は下から顔を寄せて、何も答えない母の表情を楽しんでいた。
そしていきなり母の髪をつかむと、ぐっと顔を仰向かせた。

「どうなんだ奥さん、息子に犯された気分は」

男はつかんだ髪を乱暴に突き放し、
何も答えない母の片足を、ふたたび持ち上げた。
さっきと同じように、持ち上げた膝を壁に押し付けて、母の股間を割り広げた。
母の陰部は、
最初に見たときよりも赤く爛れて、白い精液にまみれていた。
そして体を支える母の太腿にも、膣から流れ出た僕の精液が伝わっていた。
男は、膝を抱え上げたまま母の下腹部を何度か押した。
すると赤く爛れた膣口から、僕の精液がドロッと溢れ出た。
その精液はナメクジのように、
ゆっくり母の肛門まで伝わり、赤茶けた畳の上に塊となって落ちていった。
そのボトッという音がした時、母が辛そうに身をよじった。

「おい坊ず、だからつけろと言っただろう、
こんなに出して、お袋さんが妊娠しても知らねえぞ」

男は、本気で僕を叱っているような声を出したけれど、
そのくせ無惨な様相になっている母の陰部から目を放さなかった。
そして「一人、二人、 、」と、声に出して数をかぞえた。

「俺で四人目、息子で五人目か、
奥さん、中出しされたのは亭主と息子の二人だけか」

男に訊かれても何も答えない母は、顔をそむけて唇を噛みしめていた。
そんな母を「ふんっ」と笑った男は、
陰部にあれる僕の精液を、人差し指にまぶし付けた。
そして、シワを寄せ合って固くすぼまる母の肛門に、その指を突き立てた。

「んっっ」

のけぞる母に容赦なく、
男は、指を左右にねじりながら突き入れた。

「中で出されたのは、二人だけか」

母は息をつまらせながも「はっ、はいっ」と、うめき声の合間に言った。
男はやっと満足したのか、母の肛門から指を引き抜くと、
その指を自分の鼻に近づけて匂いを嗅いだ。

「今日はあまり匂わんな」

母から離れた男は、作業服を脱ぎ始めた。
脱ぎながら僕を見て、
「おまえのお袋さん、今日は浣腸しなくてもよさそうだな」と、薄く笑った。
着ているものを全部脱いだ男からは、息を止めたくなる体臭が漂ってきた。

「この前は、泣いて嫌がるお袋さんに浣腸してやったが、 、」

ふたたび母に近寄ると、男は手を伸ばしてロープを解いた。
ぐったりと首を折る母は、
胸元に残るブラジャーを外される時もじっとしていた。
ただ、やはり全裸であることが恥ずかしいのか、
身を縮めるようにして、陰毛の見える股間を手のひらで隠した。

「今日は、このまま入れさせてもらうぞ」

そう言うと、男は母の耳に、小さな声で何か囁いた。
母は一瞬、男に抗議しかけたけれど、
何も言わずに、僕が座るすぐ側で、敷布団の上に四つん這いになった。

「奥さん、もっと尻を上げろ」

男に言われても、母はそのままじっとしていた。
男はまた「尻を上げろ」と、母に命令した。
母は一度、
すぐ横に座る僕へ顔を向けた。
その表情は、ものすごく哀しそうだった。
母は、僕に何か言いたそうだった。
それが羞恥を訴える言葉なのか、
それとも息子の視線を拒む言葉なのか、
僕には分からなかったけれど、でも僕は、そんな母を美しいと思ってしまった。
母を女性として美しいと感じたのは、その時が初めてだった。
母は、
涙で潤んだ瞳を僕に向けたあと、反対側に顔をそむけた。
そしてゆっくり両腕を折りまげて、
そむけた顔を、汚い敷布団に埋めていった。
それだけでもお尻がつき出る格好になったけれど、
さらに母は膝を引き寄せ、後ろの男に向かってお尻を高くかかげた。

「なんだ坊ず、変な顔をするな、
犯るときはな、前でも後ろでも、俺はいつも、ゴムをつけるんだぞ」

僕は、コンドームをつける男を不思議がっていたのではなく、
男の股間に起立する男根の大きさに、驚いていたのだった。
腹の出た、小太りな男のモノとはとても思えない大きさだった。
コンドームをつけた男根に、
男は何かクリームのようなものを塗った。

「おい坊ず、お袋さんの口を手で塞いでおけ、
このアパートに昼間は誰もいないが、外にまで聞えたらまずいからな」

僕は「お母さん」と呼びかけながら、顔をそむける母の口を塞いだ。
男が母の腰をつかんだ時、
母の怯えと緊張が、僕の手のひらに伝わってきた。

男が勢いをつけて、男根を肛門に突き刺した時、
母は顎を上げてのけぞり、それと同時に、僕が塞いだ口から絶叫を洩らした。

もがく母から手が離れそうになり、
僕は慌てて母の頭を押さえつけ、きつく口を塞いだ。
敷布団に頭を押さえつけられて口を塞がれた母は、
うす汚れたシーツをかきむしって苦痛に耐えていた。
男は、腰を前後に動かし始めた。

「坊ず、もう手を放してもいいぞ、
叫べるのは最初だけだ、あとは息が苦しくて声も出ない」

母の肛門を犯しながら、余裕のある声で男は言った。
男に言われた通り、僕は、母の苦しみが直に伝わってくる手を放した。
母の引き攣った呼吸は、
時おり、笛のような音を立てた。

「坊ず、こっちに来て見てもいいんだぞ」

僕はその言葉を待っていた。
這いつくばって母の後ろにまわり込み、僕は母のお尻へ首を伸ばした。
そこは、いびつな光景だった。
男根が深く挿入されると、
肛門のシワが引きずり込まれて見えなり、母のお尻は真っ白になった。
でも男根が引き抜かれていくと、
その回りが膨れて茶色のシワが姿を現し、無惨に広がった肛門が丸見えになった。
肛門の下では、陰唇のビラビラがぱっくり割れて、
僕の精液をにじませる膣口が、押しつぶされたようにひしゃげていた。

「そこのカメラで、撮ってもいいぞ」

男の目線の先にあるカメラを、僕は手にした。
パソコンと同様に、それは最新型のデジタルカメラだった。

「押せば写るが、
おい坊ず、俺の顔は撮るなよ」

僕は、もがき苦しむ母にレンズを向けた。
ファインダーの中で、母は必死にシーツをつかんでいた。
極端に高くかかげたお尻を犯される母に向かって、僕はシャッターをきった。

「くっっ」

ストロボが光ったあと、
苦しみながらも、母は首をまげて僕の方を睨んだ。
カメラを構える僕の姿が信じられないのか、
驚きと怒りの表情を、苦痛の中で浮かべていた。
そんな母に向かって、もう一度シャッターを押すと、
ストロボの光から逃れようと、母はさっと顔をそむけた。
僕は、
前から後ろから、そんな母の姿をカメラに収めていった。
射精が近づいたのか、
さっきまでは余裕のあった男も、火花が散るような音をさせて、
母のお尻に何度も何度も、叩きつける勢いで腰をぶつけていた。

僕は、
色々な恥ずかしい姿の母を、カメラに写していった。
男は肛門を犯した後、
うつ伏せに横たわる母の顔の前で、あぐらをくんだ。

「むっ、 、ごっ、 、」

頭を押されて男根を口にした母は、
よほど咽喉の奥を突かれて苦しいのか、口の隙間から嗚咽を洩らした。
男は、母の頭を上下に揺すった。
しかし、時にはその手を放し、母に淫らな技巧を強制した。

「この前はなあ、
二時間かけてようやく、ここまでさせることが出来たが」

男根を咥えた母の頬が、こまかく動いていた。
母が舌を使っていることは、僕にも分かった。

「おまえのお袋さん、これを口に入れて、
ちょこっと顔を動かすのがフェラチオだと思っていたらしい」

うつ伏せになって男の股間に顔を埋める母は、
自ら頭を上下にさせ、時おり動きを止めては、咥えたまま舌を使っていた。
男は一度、母の口の中に射精したけれど、
それを飲み込むように命じて、またフェラチオを続けさせた。
しばらくすると満足したのか、
男は「もういいぞ」と言って、今度は母を仰向けに寝かせた。

カメラのファンダーを覗きながら、
僕は、正常位という体位がとてもいやらしく思えた。
正常という言葉を使うのは、どう考えても変だと感じた。
そう思ってしまうほど、男に犯される母の姿は、恥ずかしいものに見えた。
男が腰を使うたびに、
宙に浮いた母の足がゆらゆらと揺れた。
後ろから肛門を犯される姿は、惨いものにしか見えなかったのに、
足を広げて男を迎え入れる母の姿には、交わる男女のセックスそのものを感じた。

男がコンドームをしているから余計に、それはレイプには見えなかった。
自在に腰を操る男の動きによって、
母の体は、時に波うち、そして激しく揺れた。

「今日も、声は出さないな、
おい坊ず、おまえのお袋さんは大したもんだ」

カメラのレンズを近づけると、
母の膣は白い泡にまみれて濡れていた。
それは、僕の放った精液だけのようには思えなかった。
男根が埋まっていくと、
ねばった音をさせて、新たなぬめりが湧き出てくるように見えた。
でも、母は静かに息をしていたし、声も出さなかった。

「無理やりでも、弱い女はすぐによがり出す」

母は黙って、男の責めに耐えていた。
瞳は涙で潤んでいても、
その表情からは何も読みとれなかった。
母はもう、カメラを持つ僕をまったく無視していた。
僕が母の顔をまじかで写しても、ストロボの光に瞼が反応するだけだった。
僕は、
母の悶える姿を見たかったし、いやらしい声も聞いてみたかった。
あんなにアソコが濡れているのに、母は何も感じないのだろうかと不満だった。
実際、もし母が安易に女の弱さを見せたなら、
それはそれで、僕もそんな母に失望したかも知れない。
でもやっぱり、官能的な母を、一目でも見たかった。

「俺は、すぐによがり始める女は好かん」

男はむしろ、表情の無い母を楽しんでいるようだった。
いやらしく腰を使いながら、
一瞬でもその変化を見逃すまいと、母の顔をじっと見ていた。
そして男は、
くるっと体を入れ替えると、今度は母を上にした。
男の腰を跨いで上になった母は、
このとき初めて顔を赤く染めて、カメラのレンズから顔をそむけた。

「おまえのお袋さん、騎上位はこの前が初めてだったらしいぞ」

男の言葉が耳に入ったのか、母はさらに顔を赤くした。
「奥さん、このまえ教えたようにやってみろ」、男にそう言われて、
母は躊躇いがちに、少しづつ、お尻を前後にずらした。

「次は、どうするんだ」

僕には正常位のほうがいやらしく見えたのに、
母にとってはその体位が、とても恥ずかしいようだった。
急に僕を、そしてカメラを意識して、体をよじって顔をそむけた。
真赤になった顔をして、
母はお尻を少し浮き上がらせて、そのお尻をゆっくり男の腰に戻した。
男に「もっと巧くやってみろ」と命じられて、
今度は、男根がほとんどその姿を現すほどに、母はお尻を浮き上がらせた。
そしてそのお尻を、男に向かって一気に落とした。

「アッ、 、」

母のその声は、
奥深くに突き刺さる痛みを表しているようにも聞えたし、
また、僕が期待していた官能的な声のようでもあった。
顔をそむける母からは表情が見えず、僕にはどちらとも区別がつかなかった。
男に何度も命じられて、
母はその淫らな動作を繰り返したけれど、声を出したのは一度きりだった。
それきり母の声を聞くことはなかった。
でも、不自然な姿勢でお尻を上下させる母の呼吸は乱れていた。
僕は、途切れがちな息を吐く母の顔が見たくて、
そしてその顔をカメラで写したくて、急いで反対側に移動したけれど、
すぐに母は顔をそむけて、その表情を決して見せようとはしなかった。

「おい坊ず、あまりお袋さんをいじめるな」

僕は男に睨まれた。

「しかし奥さん、あんた大したもんだ、
この俺が、いつも、負けてばかりだ、 、」

さっきまでは余裕たっぷりだった男の声も、かなりうわずっていた。

「奥さんっ、」

そう叫ぶと、
男は下からさっと両手を伸ばして、母の乳房に指を食い込ませた。
つかんだ乳房で母を引き倒し、
挿入していた男根からコンドームを素早く外した。
そして倒れた母の髪をつかんで、自分の股間を押しつけた。

「咥えろっ」

僕は初めて、男の残忍な本性を見たような気がした。
悲鳴を上げる母の首をねじ曲げて、男根を力いっぱい押しつけた。
母は「、 、かっ、 、ごっ、」と、
塞がれた口から惨めな嗚咽を吹きこぼした。
それから滅茶苦茶に頭を揺すぶられた母は、
咽喉の奥に直接射精されたのか、何かの発作のように首すじを引き攣らせた。
見ていると恐くなったけれど、
僕は震える指先で、何度もシャッターを押し続けた。

男から解放された母は、僕たちに背を向けて座り、
ハンドバッグから取り出したティシュで股間を拭っていた。
僕は、とても不満だった。
僕は最初だけで、その後、男は一人で楽しんでいた。
男と母の交わりを見て、僕はすぐに勃起した。
母にフェラチオをしてもらいたかったし、もう一度セックスもしたかった。
それに、母の肛門にも興味をそそられた。
そんな僕を無視して、
男は自分が満足すると、「もう帰っていいぞ」と母に告げた。

母は股間を拭ったティシュの捨て場所に、困っている様子だった。
汚れたティシュの塊を、
恥ずかしそうに隠して、僕たちに背中を向けていた。

「奥さん、そこの屑入れに放り込めばいいだろう、
あとで俺が、ゆっくり始末してやるぞ、 、 、」

そう言って男は、いやらしく笑った。
この男には、母のすべてが楽しみの対象になるようだった。
母はその勧めに従わず、
ハンドバッグの中に、そのティシュを忍ばせた。
そして母は、
赤茶けた畳に散乱する衣服を身につけ始めた。
母はパンティーを腰まで上げると、そっと股間のシワを伸ばし、
両手を背中に回して、ブラジャーのホックを静かに留めた。
男は、
恥じらいを含んだ母の仕草を、じっと見つめていた。
膝を緩やかに折りまげて、
ストッキングを巻き上げる母の姿には、僕も女性らしい美しさを感じた。
でも、やっぱり僕は不満で、苛々していた。
せっかく撮ったものは、どうするんだと思った。
男は、そういう僕の不満をまったく無視して、母を見つめていた。

「奥さん、なかなか用意がいいじゃないか」

服を着終えた母は、
コンパクトの鏡を見ながら、口紅をつけていた。
男は体をずらして、化粧直しをする母の横顔を覗きこんだ。
自分の男根を、思う存分に咥えさせた母の唇に、ねっとりとした目を向けた。

「奥さん、あんた本当に、いい女だ」

そんな男に構わず、母はすっと立ち上がった。
僕は慌ててパンツとズボンを履いた。
男に言いたい事は一杯あったけれど、とにかく母と一緒に帰ろうと思った。
――家に帰ってお母さんを、
家に帰ってから、僕のしたい事を母にするつもりだった。
カメラで撮った画像は、また今度、ここへ取りに来ればいいと思った。

ハイヒールを履いた母がドアを開けた時、
男が「ちょっと待て」と言った。
母の側にいた僕には、最初、どちらに声をかけられたのか分からなかった。

「奥さん、ちょっと待て」

男は、ずんぐりした体型のわりに素早く立ち上がって、母の手を引いた。
母を部屋に上げると、
その体を後向きに回して、ドアのすぐ横の壁に、母を押し付けた。

「俺はどうしても、奥さんとナマでしたくなった」

男は後ろから、母のロングスカートをまくり上げた。
母は一度、ふり返って男を見たけれど、
また、顔を壁に向けてうつむき、男のされるままになった。

「安心しろ、
すぐに終ってやる、中にも出さない」

パンティーとストッキングを一緒に引き下ろしながら、
男は、ドアのそばに立つ僕を見た。

「坊ず、おまえはもう帰れ、
心配するな、お袋さんはすぐに帰してやる」

ハイヒールを履いてお尻をつき出す母に未練を残して、僕はドアを閉めた。
でも僕は帰らなかった。
建付けの悪い隙間だらけのドアに、耳を押しつけた。
背の低い男には無理なのか、「もっと尻をさげろ」「もっとさげて足を開け」とか、
あれこれ母に言っていた。

「うっ、 、」

男の声が途切れると、すぐに母のうめき声が聞えた。
いきなりドスドスと母を後ろから突く、男の様子も伝わってきた。
最初から、男の声に余裕はなかった。

「奥さん、あんた、いかない女なのか、
亭主とするときも、白けた顔をしているのか」

男が「どうなんだっ」と怒鳴ったとき、母の苦痛を訴える声が聞えた。
男は何かしたのか、母の「痛っ」という声がドアから響いてきた。
ふたたび男は「亭主のときは、いくのか」と怒鳴った。

「あの人は、 、優しい人、だから、 、」

躊躇いがちに母が言った。
僕は、父が優しいからどうなんだ、と思った。
母も一人の女として、
官能に身を焼かれて声を出すことがあるのか、とても気になった。
母のような女性が、
セックスをしながら絶頂に達するのかどうか、知りたくて堪らなくなった。
母のいう意味は、僕には分からなかったけれど、
男はそれで納得したようだった。

「そうか、 、オナニーの時はどうなんだ」

また母が「痛っ、 、」と悲鳴を上げた。
男は執念深く、何度も母に尋ねた。
その間も、男の動きを伝える振動が、ドアに響いていた。
僕がよほど注意して耳を澄まさないと聞き取れない声で、
母は「少し、だけ、 、」と言った。
すかさず男は「嘘をつくな、正直に答えてみろっ」と怒鳴った。
また母の悲鳴が聞えて、
男が「オナニーの時はどうなんだっ」と、きつく問いただした。

「い、 、いきます、 、」

僕は、母がオナニーをすると知った時の何倍も、ショックを受けた。
あの母が自分でしながら絶頂を感じるなんて、信じられなかった。

「だったら奥さん、
あんた、男に抱かれて、いったことは無いのか」

「、 、はい」

小さな声で母は認めた。
――そうか、そうなんだ、
僕とそっくりの父は、ただ優しいだけの男で、
自分のお嫁さんも悦ばせてあげられない、情けない男なんだ、と思った。
でも、
どんなに父と似ていても、僕は違うと思いたかった。
小さくても、僕のペニスなら母をいかせることが出来る、そう信じたかった。
――家に帰ったら、
僕はまた、そう思った。

部屋の中が、急に静かになった。
まさか、母が突き殺されたのではないかと不安になり、
僕は少しだけ、ドアを開けた。

「坊ず、まだ、いたのか」

ちょっとだけしか開けていないのに、男はすぐ、僕に気づいた。
でも、その声にはやっぱり余裕がなかった。
男は立ったまま、
その足元に正座した母の頭をつかんでいた。
きちんと身なりを整えた母に、またフェラチオさせていた。
――家に帰ったら僕も、
僕には、母の苦しみや哀しみを思いやる気持ちは、どこにもなかった。
ただ、美しく見える母を自由にしてみたかった。
男は、
僕の視線を気にもせず、母の頭を強く引き寄せて射精した。

 
母はハンカチで口許を拭った。
その仕草は、そっけなくて、羞恥のかけらも見えなかった。
さっきまで、
悲鳴を上げていた母が嘘のようだった。
散々、あの男にいじめられて、母は開き直ったのか、
それとも心が麻痺してしまったのか、僕には分からなかった。

「私、帰ります」

男に背を向けて、母は立ち上がった。
ドアの前に立つ僕など、存在しないかのように、
母は全然ちがうところを見て部屋から出て行った。
男も、
僕ではなく、母が出て行ったドアの間をじっと見ていた。
二人に無視されて、僕は腹が立って仕方なかった。
とにかく僕は、
廊下に響く母の足音を追って、小走りで男の部屋をあとにした。

アパートを出てすぐ、母に追いついた僕は、後ろにくっ付いて歩いた。
後ろから見ると、
母のウエストは細く、そんぶんロングスカートに包まれた腰は丸みがあった。
僕はたぶん、その時初めて、女性の足首を性的な目で見たと思う。
ハイヒールで踵が浮いた母の足首は、
切れそうなという、よく聞く表現がぴったりだと思った。
それまで、どうしてみんなが女性の足首を意識するのか、分からなかったけれど、
前を歩く母の足首を見ていると、確かに、ぞくぞくする気分になった。

母の車は、少し歩いたところに停めてあった。
運転席のドアに、母がキイを差し込んだとき、
「ねえお母さん、こっちも開けてよ」と、母に呼びかけた。
ずっと、僕を無視していた母が、
車をはさんで向かい合う僕に、初めて正面から顔を見せた。

「、 、 、」

助手席のロックを外してくれるように頼んだ僕は、思わず身を引いた。
母は何も言わずに、
もの凄く恐ろしい顔で、僕を睨みつけた。
――お母さん、僕を恨んでるんだ、
確かに、僕は母を犯した。
でも、あれはすべて、あの男が仕組んだことだ。
言い訳がましいけれど、母と同じように、僕も、あの男の犠牲者だ。
それは、きっと母も分かっているはずだ。
あんなに犯されて、恥をかかされて、辛いのはよく分かる。
でも、あの男に向けるのならともかく、
どうして僕に、怒った顔を見せるのか、よく分からなかった。
母は無言のまま車に乗り込むと、
僕を一人残して走り去ってしまった。
僕の苛々はさらにつのり、どうしようもなく腹が立った。
僕は迷ったけれど、
男のいるアパートに引き返すことにした。

 

 

固定ページ:
1

2

3
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 悪者と僕

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 倒錯の夏

    倒錯の夏 第1章 一日目・8月6日 プロローグ …
  2. 美奈子

    美奈子 ―"MINAKO" a wife of boys' toy. ― …
  3. 蒼きハイエナたちの時代 I

    ―― 蒼きハイエナたちの時代 1~6 ――「優しそうだし、何でも許してくれそうじゃん」「崩れたっ…

人気記事をチェック!

  1. *サイト閉鎖されておられました作者様がDL販売を開始されましたので作品の補完および公開を自粛させて頂…
  2.     ―1― 私の結婚を機に、母は家を出て、一人で別居生活を始めた。 妻は、1年前に病で夫を…
  3. *サイト閉鎖されておられました作者様がDL販売を開始されましたので作品の補完および公開を自粛させて頂…
  4. とある午後の昼下がり、暖かい春の日差しが室内に降り注いでいた。  (ほんとに暖かくなったわね・・…
  5. ■不倫残業で上司の巨根の虜とされていた妻(全画面でプレイ)[説明]インストール不要でブラ…

ピックアップ記事

  1. 2017-11-22

    倒錯の夏

    倒錯の夏 第1章 一日目・8月6日 プロローグ …
  2. 2017-11-22

    美奈子

    美奈子 ―"MINAKO" a wife of boys' toy. ― …
  3. 2015-7-27

    蒼きハイエナたちの時代 I

    ―― 蒼きハイエナたちの時代 1~6 ――「優しそうだし、何でも許してくれそうじゃん」「崩れたっ…
ページ上部へ戻る